シリアラクダSyrian camel

90000-100000年前絶滅
  • シリアラクダ
  • シリアラクダ

動物園史上初の飼育、野生のシリアラクダ

現存するラクダ科のどうぶつの原種は元来、北米に生息したが、約300-500 万年前にパナマ地峡を通って南米に拡散しグアナコやビクーニャが生まれた。またベーリング陸橋を通ってアジアやアフリカにも拡散し、ゴビ砂漠には今も野生のフタコブラクダが生息している。

シリアのパルミラ遺跡 18世紀、シリアの鉄道建設作業に使われるラクダ

シリアのパルミラ遺跡
(画像をクリックで拡大表示)

18世紀、シリアの鉄道建設作業に使われるラクダ
(画像をクリックで拡大表示)

北米で最後まで生存していたラクダCamelops属は最初の人類が大陸に到着した、約 11000 年前に絶滅した。その要因には気候変動などもあるが、中南米先住民族の祖先にあたるクローヴィス人たちによる狩猟圧によるものと考えるのが妥当だろう。それから数千年後、それぞれ完全に独立した形で、南米のラマやアルパカ、アジアのフタコブラクダやアフリカのヒトコブラクダなど、野生のラクダ科の動物たちが家畜化されるようになった。旧世界のこれら両種が “ ラクダ ” と呼ばれ、南米の “ ラマ ” とはまったくの別種となる。

シリアで発見された5世紀頃のモザイクアート 北米で発見される大型ラクダの化石

シリアで発見された5世紀頃のモザイクアート
(画像をクリックで拡大表示)

北米で発見される大型ラクダの化石
(画像をクリックで拡大表示)

現存するほとんどのラクダは家畜化されているが、ヒトコブラクダは紀元前 3000 年頃のソマリアとアラビア南部で初めて家畜化されたのに対し、フタコブラクダが家畜化されたのは紀元前 2500 年頃の中央アジアとされる。現存する野生のラクダは、ゴビ砂漠の僅かな数のフタコブラクダだけであり、それら野生のフタコブラクダは 1980 年から 90 年代に北京動物園で飼育されていた。野生のフタコブラクダを飼育したのは、世界でも北京動物園だけである。

シリアの切手にデザインされたシリアラクダ シリア版タバコ「ブランド「CAMEL」の広告

シリアの切手にデザインされたシリアラクダ
(画像をクリックで拡大表示)

シリア版タバコ「ブランド「CAMEL」の広告
(画像をクリックで拡大表示)

科学者の間ではヒトコブラクダとフタコブラクダの原種が同じなのか、それとも違う種なのかこれまで議論されてきた。アフリカで野生のラクダが確認されていないことと、ヒトコブラクダとフタコブラクダの大きな違いがコブの数だけであること、この二つが争点である。フタコブラクダにはコブが必ず二つあるが、ヒトコブラクダにはもちろん一つしかない。しかし胎児の段階では実はヒトコブラクダにもコブが二つあることから、多くの科学者は二つ目のコブを減らすことが家畜化における目的であり、ヒトコブラクダは野生のフタコブラクダが改良されたものと考えたのである。

イスラエルの岩絵に描かれたラクダ 17世紀に描かれたシリアのラクダたち

イスラエルの岩絵に描かれたラクダ
(画像をクリックで拡大表示)

17世紀に描かれたシリアのラクダたち
(画像をクリックで拡大表示)

シリアラクダと現生ラクダ、からだの大きさ比較

シリアラクダと現生ラクダ、からだの大きさ比較(画像をクリックで拡大表示)

しかし今から約 10 年前にダマスカスの約 200km 北にあるシリア西部の砂漠で、初めてラクダの化石が発見された。このシリアラクダ。(Camelus moreli)は約 10 万年前に生息していたことがわかった)シリアラクダは、中東地域とアフリカで初めて発見された野性のヒトコブラクダということに加え、実に巨大などうぶつであることが多くの関係者を驚かせた。この巨大なラクダは現代のゾウと同じくらい背が高く、現代のラクダと比較しても約 2 倍の体高だったことがわかっている。肩高が 3m、頭までの高さは 4m にもなった。この新種のラクダは、中期旧石器時代の人骨と古代人が使用した石器とともに発見された。その骨はおそらく巨大ラクダを追った狩人の。ものであろう。泉に水を飲みにきた獲物を追っていたに違いない

LOST ZOOシリアラクダの放飼場風景

LOST ZOOシリアラクダの放飼場風景
(画像をクリックで拡大表示)

家畜化されたラクダが中東で見られるようになったのは、ほんの5000 年から 7000 年前であるが、この地域で最初の野生種として発見されたシリアラクダは、最初に家畜化された種よりもはるか以前にここで存在していたことは明白なのである。科学者らはシリアラクダが、現代の家畜化されたヒトコブラクダの原種である可能性があると考え研究を進めている。ともあれ、シリアラクダはこの地域で野生のラクダが存在したという歴とした証拠であり、アジアのフタコブラクダとは関係なく家畜化されたと言える。この希少な巨大シリアラクダが我が LOST ZOO の展示に加わってくれることを誇りに思う。この種を飼育することで、我が LOST ZOO は野生のラクダを飼育した世界で 2 番目の動物園となるのだから。

LOST ZOOキュレーター ユルゲン・ランゲ

シリアラクダ
  • 旧世界のラクダのように、シリアラクダはベーリング地峡を通って北米からアジアとアフリカへと移った。何千年もの間、野生のヒトコブラクダはアフリカや中東の先住民らが描いた岩絵の中だけで知られていた。ところが2006年に、ダマスカス近郊のシリア砂漠で野生のヒトコブラクダ、シリアラクダの化石が発見された。現在アフリカや中東、オーストラリアの乾燥地域で家畜化されているすべてのヒトコブラクダの先祖と考えられる。
  • 肩の高さ:300cm以上
  • 頭の高さ:400 cm
  • 体重:約1000kg
  • 生息地:アラビアと中東の乾燥または半乾燥地域
  • 絶滅:9万から10万年前
展示どうぶつ
シリアラクダ