マチカネワニOsaka Gavial

約370000年前絶滅
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特報、日本の登録記念物 "マチカネワニ" がLOST ZOO に!
動物園史上初の飼育

マチカネワニの骨格標本 インターメディアテク所蔵

マチカネワニの骨格標本 インターメディアテク所蔵 (画像をクリックで拡大表示)

マチカネワニの骨格標本(現物)大阪大学総合学術博物館所蔵

マチカネワニの骨格標本(現物)大阪大学総合学術博物館所蔵
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ワニは世界中で、ドラゴン・龍の物語を想起させる伝説や神話において常に大役を演じてきたと言える。爬虫類好きの来園者にとって今日ワニは人気の高いどうぶつであり、特に大きなテラリウムにはワニの存在は欠かせない。この"待ち伏せ型肉食系" 捕食者の、素早い反応・動きは常に来園者を魅了する。
ワニは、その吻( 長い口先) の形状や鋭い歯によって食べるものが変わってくる。大別して2つの違う種がある。まず1つめのタイプは15種のクロコダイルと8種のアリゲーターたち、彼らは幅が広めの頭蓋と吻を具備しており、鳥類や爬虫類を捕食する。そして2つめは、ガビアルと呼ばれる、とても長くて狭い吻と鋭い歯をもつ魚類を捕食するタイプである。マレーガビアル(Tomistoma schlegelii ) はかつてその頭蓋の形状からクロコダイルの仲間として分類されていた。しかし、現在では同種はクロコダイル、アリゲーター、カイマンのどの種よりもむしろインドガビアルに近い関係性が見られることを専門家たちは指摘している。

マチカネワニと近縁種のマレーガビアル@沖縄こどもの国

マチカネワニと近縁種のマレーガビアル@沖縄こどもの国
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一般に、ワニは熱帯のどうぶつである。アメリカワニとヨウスコウワニだけが例外で、この2種だけが亜熱帯に生息しアメリカの北部から南東部、また中国の揚子江流域にまで分布している。言うまでもなく、絶滅してしまい今日ではその姿を見ることのできない国や地域でも、かつてはこのガビアルの仲間( いわゆるワニと呼ぶものと、それに近い爬虫類を含む) は生息していた。例えばヨーロッパにおいては2 億年前に存在したベロドン属が挙げられるし、45 万年前には日本にも「マチカネワニ」なるガビアル(Toyotamaphimeia machikanensis ) が存在していた。骨などが発掘されたときに、このように新奇でかつ今日では現存しないどうぶつは常に人々を魅了するものであるが、日本やヨーロッパにもかつてワニが生息していたことはにわかに信じがたいほどである。それゆえ、19 世紀の終わり頃にベロドンの仲間(Belodon kapfii : 外見や習性がガビアルに似ているものの、実際は"フトサウルス: 植竜類 " というどうぶつで、ワニの直接の祖先ではない) の骨格がドイツ南部で初めて発見された時、それがワニだとして当時大騒ぎになったことは想像に難くない。そんな背景がある中で、1913 年にベルリン水族館が新しく建築される際、正面の外壁デザインとしてこの新水族館で飼育されるあらゆるどうぶつたちの祖先を掲げることが自然と決まった。もちろん、進化の過程とその関係性を表現するものとして。今日でも、ベルリン水族館の壁面には大きなベロドンの彫刻を見ることができる。

1800年代に描かれたベロドン ベルリン動物園・水族館の壁を飾るベロドンの彫刻

1800年代に描かれたベロドン
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ベルリン動物園・水族館の壁を飾るベロドンの彫刻(画像をクリックで拡大表示)

一方、1965 年に大阪で完全なガビアルの骨格が発掘された時、科学者はもちろん一般市民を巻き込んだ大興奮は、時代の変化とともに進化した情報伝達手段の高速化により欧州のそれと比較してもより大きなものだった。この骨格は大阪大学の新しいキャンパスを建設する作業中に45 万年前の地層の中から偶然発見された。ちなみにこれこそ、日本で初めてのワニの化石標本である。全長7m のうち頭蓋が1m ほどの全身骨格で現存するマレーガビアルよりも少し大きいものの、インドネシアに生息する同種と同様に、魚をパクっと捕食するのに適していると思われる長い吻をもっていたようであった。この骨格標本から判断し、このワニはマレーガビアルに非常に近い近縁種として"Tomistomamachikanensis : マチカネワニ" と名付けられた。いくつかの詳細な検証を経て、やはりこの化石のガビアル( マチカネワニ) は実際にマレーガビアルと密接に関係していることは明らかだったが、それと同時に多くの差異も見受けられた。そのため、新しい"Toyotamaphimeia " という属が作られたのである。さらにそこから40 年もの時をこの骨格標本の調査検証に費やし、新たな系統解析がなされこのToyotamaphimeia 属は、やはりマレーガビアルと近縁の姉妹分類群であることが明らかとなった。ちなみに、現存するマレーガビアルも、このマチカネワニ( オオサカガビアル) も、起源を辿ると欧州で発生したどうぶつであり、そこから45 万年以上前にアジアへと分布を広げていったということも明らかにされている。大阪で発見されたこの骨格標本は、2014年の6月に国の登録記念物として登録され、大阪大学では発見から50周年を祝した数々の記念イベントを行った。

マチカネワニが モチーフとなった遊具/堺市・大阪府立大型児童館ビッグバン マチカネワニが モチーフとなった遊具/堺市・大阪府立大型児童館ビッグバン

マチカネワニがモチーフとなった遊具/堺市・大阪府立大型児童館ビッグバン
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豊中市のマンホールにデザインされているマチカネワニ 大阪大学公式マスコットキャラクター「ワニ博士」

豊中市のマンホールにデザインされているマチカネワニ(画像をクリックで拡大表示)

大阪大学公式マスコットキャラクター「ワニ博士」(画像をクリックで拡大表示)

我がLOST ZOOでは50周年を迎えたこのマチカネワニを展示に加えることを非常に光栄に存じ上げる。このように希少でかつ固有の日本産爬虫類が動物園で展示されることは初のことであろう。LOST ZOOの日本エリア、とりわけ大きな放飼場で展示されている。日光浴のための砂場はもちろん、自由に泳ぐことができ彼らの繁殖行動に欠かせない温水の広くて深いプールは一見の価値があるだろう。

LOST ZOO マチカネワニの放飼場風景

LOST ZOO
マチカネワニの放飼場風景
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LOST ZOOキュレーター ユルゲン・ランゲ

マチカネワニ

マチカネワニ(Toyotamaphimeia machikanense )は巨大なワニの一種であり、マレーガビアル(Tomistoma schlegelii )の近縁種。また、日本で初めて発見されたワニでもある。

体長:約8mにも及ぶ(うち頭骨は1m)

体重:おおよそ400kg以上。多種のガビアルと同様、オスの方がメスよりも大きかったと推測される

生息地:大阪の熱帯雨林と湿地帯、湖や川など

野生下での絶滅:約370000年前

展示どうぶつ
マチカネワニ