ヘリコプリオンHelicoprion

2億5000年前絶滅
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150年もの間ジュラ紀の古代サメとされてきた ヘリコプリオンが我が”LOST DOLPHINARIUM”に登場!

ヘリコプリオンが生息したのは約2億9千万年前のゴンドワナ大陸、後のパンゲア大陸の南西部の海岸沖。そして2億5千万年前に、すでに絶滅している。 他種と同様にヘリコプリオンは、1899年に体の一部である「tooth whorl(渦巻き状の歯列)」と呼ばれる螺旋状に巻いた歯の化石だけを基にその種について記述がなされた。

ヘリコプリオンの化石

ヘリコプリオンの化石(画像をクリックで拡大表示)

この歯の化石はいわゆる“丸ノコ”を連想させるように螺旋状の歯が最多で180個、3周にも渦巻いている。これまで多くのtooth whorlの化石やその断片が見つかっており、それらを細かく分類しつつヘリコプリオンにも新たな種が記述されている。現在、全部で4種のヘリコプリオンが記述されておりその全長は平均3−4m、大きいものでは8mに達するとされている。

過去に想像されていたヘリコプリオンのイメージ図

過去に想像されていたヘリコプリオンのイメージ図(画像をクリックで拡大表示)

一方、2011年に直径45㎝のtooth whorlが発見されておりその全長は10m程だったと推定されるし、また同時期に60㎝ものtooth whorlが発見されその全長は12mを超えたと考えられる。これら大型のものはおそらくは新種と考えて間違いないだろう。

ヘリコプリオンに関して化石を通じて残された手がかりは、tooth whorl と頭蓋骨と下顎の押しつぶされた軟骨の痕だけである。ここにあるイメージは他の古代ザメやギンザメを基に推測された、復元図である。

ヘリコプリオンに関して化石を通じて残された手がかりは、tooth whorlと頭蓋骨と下顎の押しつぶされた軟骨の痕だけである。ここにあるイメージは他の古代ザメやギンザメを基に推測された、復元図である。(画像をクリックで拡大表示)

1世紀以上もの間、専門家らはこの螺旋状の歯がどのように顎に 収まっていたのか理解しようと努めてきた。その歯は口先や下顎、背ビレや尾 ビレから垂れ下がっていたのか、またはのどの奥に埋め込まれていたのか、などなど想像力を膨らませながらその視覚化を試みた。やがて専門家らは「歯は 長い下顎の先にあった」という見解に同意したが、その後も芸術家や科学者らは、 また別の説を唱えている。この恐ろしいtooth whorlは下顎から外側に巻いていたと推測する者もいれば、下顎の内側に巻いていたと推測する者、はたまた下顎の奥の方にあったと推測する者など、さまざまな説があった。更には、上顎と下顎の両方に渦巻き状の歯があったのではという説まで存在しているから興味深い。

過去に想像されていたヘリコプリオンのイメージ図

ヘリコプリオンの在りし日の姿を研究した過程
研究初期段階では、tooth whorl は口だけでなく背びれや尾びれなど体のさまざまな部位に位置し、防御の役割を果たしていたと考える研究者らもいた。最も一般的だったものは、長くて巻き付けるのに適した鞭のような図だ。(図1)エサとなる対象が、この鞭でダメージを受け泳げなくなったところを捕食すると考えられていた。しかしこの考え方の問題点は、“ 鞭”が伸びた状態では一度も見つかっていない点であった。その後、ヘリコプリオンは渦巻かれたtoothwhorlを長い顎の先に持つと考えられるようになった。(図2)しかし、更なる研究とCT スキャンによって、押しつぶされた軟骨の発見され、2013 年に初めて一部の顎の復元が行われた。これにより、渦巻き状のtooth whorlを短い顎に有するという、新たなヘリコプリオンの姿が明らかになった。(図3)(画像をクリックで拡大表示)

からだの大きさ比較 近縁種のスポッティド・ラットフィッシュ

からだの大きさ比較
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近縁種のスポッティド・ラットフィッシュ
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2013年にようやくtooth whorlのCTスキャンによってヘリコプリオンの新たな、そして完全な姿が明らかとなった。その実、tooth whorlが下顎を完全に占領していたのである。そのすぐ後ろには顎の関節があり、歯は顎の両 側の軟骨によって支えられていた。奇妙なことにヘリコプリオンは上の歯がな かったようである。増え続ける螺旋状の歯がヘリコプリオンのすべての歯だっ たのだ。更に、頭部の軟骨にはラットフィッシュやギンザメといった軟骨魚類の特徴である特殊な二重結合が見られた。これらのCTスキャンを使った研究によって、ヘリコプリオンは細長い顎は持たず、サメというよりはギンザメに近 い種ということが分かった。また、丸ノコ歯の機能についても解明した。実際、ほぼ完璧に丸ノコそのものと言っても過言ではなく、形状自体がノコギリに似ていることに加え、歯が回転するという動きもまったく同じだったようだ。この動きは主な餌であるイカなど体の柔らかい頭足動物を捕食するのに適していたと考えられる。

LOST ZOOヘリコプリオンの放飼場風景

LOST ZOOヘリコプリオンの放飼場風景
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我々は、このヘリコプリオンを我がLOST ZOOで皆様にご覧いただけることをとても嬉しく誇りに思う。この珍しくも風変りなどうぶつは、我が“LOST DOLPHINARIUM”の新たな注目の的となるだろう。同じく、珍しい淡水イルカであるヨウスコウカワイルカがいる隣の大型水槽でご覧いただける ので併せて観察されることをお薦めする。

LOST ZOOキュレーター ユルゲン・ランゲ

ヘリコプリオン
  • 多様な種のヘリコプリオンはゴンドワナ大陸、南西部の海岸沖に生息した。約2億9千万年前に初めて出現し、その後2億5千万年前に絶滅した。すべての種が、見た目は奇妙だが機能的な「tooth whorl」(渦巻き歯)と呼ばれる丸ノコを連想させる渦巻き状の歯の塊を有する。当初、専門家らはヘリコプリオンをサメと分類したが、2013年のCTスキャンによってラットフィッシュの仲間であることが明らかになり、ギンザメが現存する最も近縁の種とされている。
  • 体長:種によるが平均4から6mで、大きいものは10から12mに達する。
  • tooth whorlの直径:45から60 cm。最多で180個の歯が螺旋状に3周巻いている。
展示どうぶつ
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