ジャイアントバイソンGiant Bison

約10000年前に絶滅
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アメリカバイソンとその巨大な祖先たち

体高約2m、大きな頭と文字通り重厚な上半身のアメリカヘイゲンバイソンはどんな動物園でも印象的で、多くの来園者を惹き付ける魅力がある。ほんの数頭だけでいる様子を見ているだけでも、その昔、北アメリカの大草原にいた大きな群れに思いを馳せるのは容易い。17-18世紀頃にはアメリカヘイゲンバイソンは60,000,000頭ほどが生息していたとみられている。ところがヨーロッパからの移民による乱獲と、移民が連れてきた家畜から感染した病気によってその数は減少し、1889年には835頭となってしまった。もう一つの亜種である「アメリカシンリンバイソン」の置かれていた状況はさらに厳しく、その時点で既に絶滅したとさえ考えられていたが、1960年に200頭の小さな群れがカナダのウッドバッファロー公園で見つかった。保護活動と繁殖プログラムによって現在のアメリカヘイゲンバイソンの数は安定し、アメリカシンリンバイソンの数も1800頭まで増加した。

クアッガ クアッガ

ヨーロッパバイソンの古い絵画 1893年、1910年(画像をクリックで拡大表示)

クアッガとシマウマたちの生息地と縞模様比較

19世紀初頭に描かれたアメリカバイソンの画(画像をクリックで拡大表示)

一方、バイソンはアメリカだけでなくヨーロッパにも存在する。ヨーロッパバイソンの置かれていた状況は北アメリカと同様、決して望ましいものではなくヨーロッパバイソンの二つの亜種も絶滅の危機に瀕していた。1927年に野生で最後のヨーロッパバイソンがコーカサスの地で撃たれ、ここにヨーロッパ高地バイソン(コーカサスバイソン)が絶滅した。野生のヨーロッパ低地バイソン(リトアニアバイソン)が絶滅した1919年から実に8年後のことだ。しかし、早期の保護活動や繁殖プログラムによって低地バイソンはヨーロッパの動物園で生き残った。それどころか、このヨーロッパ低地バイソンは1952年、動物園が繁殖個体を野生に返すことができた最初の種でもある。現在生存している野生と飼育下のヨーロッパバイソンはすべて当時動物園にいた12頭をもとに増やされた個体である。これらヨーロッパバイソンたちを、今ある野生動物の血統登録台帳という形で記録し始めたのがベルリン動物園である。ヨーロッパバイソンはアメリカバイソンより細いため華奢に見えがちだが、実のところ体高は、最大ではやはり2mに達するものもいるから決して小さくはない。しかし、彼らの先祖にあたるステップバイソンやジャイアントバイソンに比べれば、はるかに小型とさえ言えるだろう。ステップバイソンは小さい個体でも2m以上の体高と50cm以上もある角を誇り、角の差し渡し(両角の先端から先端までの距離)は1m以上。ステップバイソンはヨーロッパと中央アジアに生息していたが220000-240000年前にシベリアとアラスカをつないだベーリング陸橋を渡り、北アメリカの大部分に移動し、そして約10000年前までに絶滅した。ヨーロッパでは現在のヨーロッパバイソンが、また、北アメリカではジャイアントバイソン(ロングホーンバイソン)と、後に少し小さいムカシバイソンが主流となった。ムカシバイソンは数万年前に現在のアメリカバイソンへと進化したのである。

クアッガの特徴

ジャイアントバイソンの頭骨標本(画像をクリックで拡大表示)

ジャイアントバイソンは小さいものでも体高250cm、2000kg以上の体格をしていたと推測される。角の差し渡しは210cmを超えており、現在のアメリカバイソンのそれが60cm程度であることと比較すればその大きさがよくわかるはずだ。オスはこの角で大型肉食獣と戦い、その大きさでオス同士の優劣を競ったと考えられている。ジャイアントバイソンはウシ型の生物では史上最大のどうぶつと言えるだろう。アメリカの草原と森林で見られ、暖かい気候を好んで生活していたようだ。彼らの化石は最南でカリフォルニア州でも見つかっている。20000-30000年前の間にジャイアントバイソンが死に絶えるのとほぼ同時にムカシバイソンが北アメリカで数を大幅に増やした。この種はジャイアントバイソンほど巨大な種ではなかったが、現在のアメリカバイソンより20-25%ほど大きかった。ムカシバイソンの体高は220cm、角の差し渡しは100cmほどである。約10000年前はこの種も死に絶え、結果、現在のアメリカバイソンの繁栄を許すことになる。

クアッガの剥製

LOST ZOOのジャイアントバイソン放飼場(画像をクリックで拡大表示)

バイソンのように大きな生物を目にすると、前の種がさらに大きかったとは想像しにくい時がある。また更に、その時代にはすでに人間が存在していたと考えるとまったくおとぎ話のようだ。突如主人公が小さな人形のサイズに縮んでしまい、巨人族の世界に迷い込んでしまった、といったストーリーである。動物園に行った後に、自然史博物館を訪れ、かような古代の大型生物について思いを馳せるというのもまた一興であろう。

LOST ZOOキュレーター ユルゲン・ランゲ

クアッガ