カリブモンクアザラシの剥製 オランダ ライデン博物館所蔵 (画像をクリックで拡大表示)
a) チチュウカイモンクアザラシの頭骨
b) ハワイモンクアザラシの頭骨
c) カリブモンクアザラシの頭骨
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モンクアザラシ属はアザラシ科の一種として分類される。このアザラシ属は一年中熱帯または亜熱帯で暮らす。この属に含まれる3種は世界中で全くバラバラの場所に生息している。チチュウカイモンクアザラシ(Monachus monachus)、ハワイモンクアザラシ(Monachus schauinslandi)、カリブモンクアザラシ(Monachus tropicalis)である。骨格の特徴からモンクアザラシはアザラシの古代種として分類される。陸上性の肉食どうぶつと特徴的に近い。また、昨今はモンクアザラシ同士の関係も議論の的であると言える。もっとも新しい研究成果によるとハワイモンクアザラシとカリブモンクアザラシは遺伝的に近いものの、チチュウカイモンクアザラシはそのどちらからも遠いようだ。
どのモンクアザラシも19世紀から20世紀初頭まではごく一般的な種だったが現在では希少、もしくは絶滅してしまった。理由としては遺伝的に温厚である性格が故に、探しやすく、また狩猟することも容易であった事があげられる。このため、急激に数を減少させたわけである。1800年代、モンクアザラシはその肉、皮、油の為に格好の狩猟の対象とされていた。1970年代にハワイモンクアザラシの生息数が調査されたが1000頭ほどしかなく、さらに減少傾向にあった。1980年代に入って厳しい保護法が導入されてからは数が増え、現在では1200頭ほどが確認されている。また、チチュウカイモンクアザラシは現在、ヨーロッパでもっとも希少な哺乳類となった。大きくは4つの群れに分かれた合計300頭ほどのモンクアザラシが西アフリカ、マデイラ島、トルコ、ギリシャ周辺でそれぞれに生息している。カリブモンクアザラシは現在では絶滅した種になってしまった。カリブモンクアザラシに関する最古の記述は1494年のクリストファー・コロンブスによるものである。1688年には砂糖農家が機械を動かすための油として使うために毎夜のごとく、何百頭のアザラシを狩り続けた。1850年までにはあまりにも数が減少してしまい、商業用の狩猟は不可能となり1885年にはほぼ絶滅。1952年ジャマイカで目撃されたのを最後に、カリブモンクアザラシは完全に絶滅した。モンクアザラシはどの種も動物園や水族館で飼育された例がほとんどない。最古の記録は1815年にニュルンベルクで展示されたチチュウカイモンクアザラシである。
1882年から1910年までの間にロンドン動物園にも3頭のチチュウカイモンクアザラシが搬入されたが、どの個体も4か月以内に死んでしまった。ベルリン動物園に1910年に1頭、その後さらに2頭が導入され、この3頭は長生きした。1930年前半の写真でも当時の様子が確認できる。ハワイモンクアザラシはハワイ以外ではサンディエゴ動物園でも飼育されていた。ホノルル動物園から1951年5月と1957年9月に送られた個体は2か月ももたずに死んでしまった。現在ではサンディエゴ動物園、ワイキキ水族館、ハワイ・シーライフパークで飼育されている。ハワイ・シーライフパークの個体は1989年に導入された3頭のうちの2頭が長生きをしていて、いまでも世界中の観光客から注目されている。1897年から1910年の間に、当時既に稀少だったカリブモンクアザラシがアメリカで展示された記録がある。1897年の夏にワシントン国立動物園に到着した個体は、2か月ももたずに死んでしまった。同時期にニューヨーク水族館にも2頭が導入され、室内プールで飼育された。しかし、2年と5年半後に両個体とも内蔵に脂肪質の腫瘍ができたことが原因で死んでしまった。ふたたび、1909年6月にニューヨーク水族館にオスの成獣と2頭の子供が導入されたのだが、1910年12月にオスの成獣、1911年1月に子供のうち1頭が死亡した。しかし、最後に残った個体がとても長生きをした。来館者に、まえあしの水かきで水をかけるという、あまり嬉しくない癖の持ち主だったことでも有名だった。
LOST ZOO カリブモンクアザラシの放飼場風景
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我がLOSTZOOはモンクアザラシを飼育しているとても珍しい動物園であり、カリブモンクアザラシを飼育する施設としては、史上3園目である。カリブモンクアザラシは南米エリアの温水プールで飼育され、豊富な魚介類を餌として与えている。
LOST ZOOキュレーター ユルゲン・ランゲ
カリブアザラシは、西大西洋、メキシコ湾、カリブ海の熱帯から亜熱帯にかけての温かい海に生息していた。閑静で孤立した環礁や島の、砂浜で暮らすことを好んでいた。カリブモンクアザラシはハワイ諸島に生息するハワイモンクアザラシと地中海に生息するチチュウカイモンクアザラシの近縁種である。
体長:最大で2.4m
体重:170-270kg オスはメスよりも大きくなる
体色:背中は灰色がかった茶色、顔から腹部にかけては明るい黄色で、首部分の脂肪でできた輪状の"襟"は、クリーム色をしている
新生児:およそ1m、16-18kgほどの大きさで、生まれた時はつやつやとした黒色をしている
寿命:およそ20年
野生下での絶滅:1952年